斉藤信吾 ○○○
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この住宅は、玄関、リビング、トイレや風呂、など、住宅内の全ての壁が開閉可能な扉で構成されている。自分は、建築家が建築家の思い込みで作ったプランのままに住宅が構成されていく事に不満を持っている。この住宅では、長く住まわれていく中で、扉の構成を、住み手同士の関係や、その土地の風土との関係、さらには周辺環境との関係などによって変化させることが出来るようになっている。扉の開閉により、内部空間と外部空間の構成が住む人の意思によって変わっていく。扉の種類は、透ける扉、磨りガラスの半透明な扉、透過性の無い扉と3種類あり、これらの扉が、空間に更なるバラエティを与えていく。
平本:扉の開閉によって外部環境とのあり方を変化させられる面白さは分かったが、では逆に全部閉じた時の面白さはどんなことが考えられるか。
斉藤:外側の扉が全て閉じられていても、内部の扉は住み手によって刻一刻と変えられていく。それにより、この家に帰ってくるたびに、玄関からリビングまでの導線が異なっているというような現象が起きる。そこが面白い。
古谷:転形劇場という劇団を主宰していた太田省吾さんという劇作家がいる。その劇団の代表作に、「小町風伝」という作品がある。この芝居は、最初、ひとりの女優さんが劇場の袖からゆっくりと音も立てずに歩いてくるのだが、彼女が舞台の中心に着くまでの間に、他の俳優たちが、ひとりひとりタンスやら障子やらをかついで、彼女をドカドカと追い抜いていき、一瞬で舞台にひとつの部屋を作ってしまう。そしてこの物語はその部屋の中で進んでいき、物語の終わりにはまた俳優たちが建具をかついで去っていく。そして舞台の上には何もなくなる。
この芝居のように、この住宅は、寡黙なときから饒舌なときまで七変化が出来るようになっているのだから、その静と動の二重性がぱっと感じられるような表現をしたほうがよい。透明の扉なども不要で、扉は全て不透明だが、その開閉の具合によって半透明的状況を作り出せる方がずっと明快だ。この住宅は、二重性、可動性が命なのだから、ひとつの模型を作るだけでなく、閉じたときと、開いたときの2種類の模型表現等をしてくれると良かった。
by enshu08
| 2008-08-01 00:12
| D_第4課題

