カテゴリ:D_第3課題 |
|
カテゴリ
以前の記事
タグ
山本浩二(30)
古谷誠章(20) 藤井由理(18) 山崎隆盛(17) 平本英行(13) 葛沁芸(7) 野村綾子(6) 斎藤信吾(6) 今里弘子(4) 林将利(4) 富田理恵子(3) 江藤元治(3) 後藤かほ里(3) 篠原明日香(3) 温淋淋(3) 井上友香理(3) ヴィクトル・ファヴォ(3) 安藤悠(2) 塩谷嘉章(2) 永沢ゆき(2) 雨宮隆太郎(2) 佐野穂高(2) 松村俊典(2) 松井美奈歩(2) 西内元省(2) 田所真(2) 中村碧(2) 早河諭(2) 藤崎創(2) 矢澤憲丈(2) Maria Salazar(2) 立神哲哉(1) 有川翔馬(1) 柳瀬紀昭(1) 茂木大樹(1) 本間智希(1) 牧野あゆみ(1) 豊田修平(1) 峯岸昌弘(1) 平裕(1) 平野遼介(1) 夫馬康仁(1) 藤井祐輔(1) 藤井忠征(1) 川辺真未(1) 棚田美紀子(1) 瀧澤一貴(1) 大利泰文(1) 大橋清和(1) 大井清一郎(1) 森太郎(1) 森園知弘(1) 小西健斗(1) 寺岡純(1) 吉田遼太(1) 伊藤杏奈(1) 荻野彰大(1) 岡田春輝(1) 稲田直美(1) 芦川喬(1) リンク
おすすめキーワード(PR)
ファン
|
![]() ![]() ![]() ![]() 陣地取りゲームは、領域を二次元的な表現で規定しているが、そこには、人の解釈によって三次元的な空間が発生していると思った。領域の向こう側は見えるけれどもそこに行く事はできず、見えない壁が生まれている。 今回は、その事を発想の原点にして、ある美術館の空間モデルを作った。この空間は、向こう側の人は見えるけれども、立てられた壁によってそこに行く事は出来ない。壁に空けられた開口部は高さや面積が変化しており、中にいる人の頭だけが見えたり、足だけが見えたりする。周りの人は、その周りをぐるぐるまわって、そこに行くにはどうすれば良いだろうと考えながら、そこには何かあるな、という興味をかき立てられていく。また、開口部を縁取るようにつけられた色は、真正面から見ると壁同士の奥行きが消え、平面に見えるようになっている。平面だと思われた色と色の隙間から人が現れる事で、奥行きが発生する様になっている。 平本:これは非常に空間が気持ちよく感じられる模型。プランが明解なこともあると思うが、表現の加減が良い。開口部に色を塗って、奥行き感を消したのもうまい。 藤井:これは天井がどう貼られるかが重要だと思う。建築を考えるとき、プラン中心に考えていると意外と忘れてしまいがちなことだが、天井がどう入ってくるかで奥行き感はだいぶ違って見える。天井がどう入るとこの案をさらに発展出来るか考えてみたらどうか。しかし、単純ながらも応用範囲がひろい良い案だと思う。 古谷:この模型は、アイデアを最小限の表現で成り立たせている。それが見る人の想像力を呼ぶ。自分の模型を客観的に見ることで適切な表現が見えてくる。ちなみに、画家が個展を開く目的の一つに、自分の絵を客観的に見る為ということがある。他の皆も、せっかくこの授業でたくさんの模型が一同に集まっているのだから、客観的に自分の作品を見るチャンスだと思って見てみると良い。 ![]() ![]() ![]() ![]() 普通、空間というものは壁で区切られる事によって作られている。しかし、壁を立てて導線を完全に遮断する事で空間を仕切るのではなく、屋根や天井が落ちてくることで空間を仕切れないかと思った。地面まで完全にふさぎきる事なく空間を仕切るので、利用者の身体的、感覚的な違いによって空間をどこまでひとつながりに認識するかが変わってくる。このように利用者に依存する空間をつくることで、多様な空間を作り出した。 藤井:多様性という言葉を英語で表すと、variation, varietyという単語になるか、あるいはdiversityという言葉になると思うが、今回はdiversityというよりもvarietyという考え方で空間を作ってきてくれた人が多かったように思う。この作品もその一例で、天井から壁が降りてくるというシステムの中で、いろいろなバリエーションの例を提示してくれている。 この作品は、そのシステムに加え、さらに色を変えたり、マッスなものから板状のものまで形状を変化させたりしているが、その具体的な活用法が考えられていない。ただただバリエーションを増やすだけで、面白い空間ができたというだけではいけない。 山崎:たしかに複雑な空間は生まれていると思うが、その空間を強調するまでには至っていない…。 古谷:まじめに作ってある模型なのだが、中途半端に作りすぎてしまっている。コンペ等でも良くあることだが、わずかに情報が制限されているほうが読み手の想像力を刺激し、案に発展性が生まれることが多い。もっと簡素化したモデルを作ってみることもエスキスにおいてはとても重要。自分で作ったものを一度わきに置いて見て、自分の想像通りのものができたと思うのは良いが、自分の想像以上の驚きがそこにあった場合はなお良いと思う。 とはいえ、この案は空間の使用用途について具体的に考えてみるのも必要。これを美術館といってしまうと、この壁はただの展示壁になってしまうが、住宅だと考えればこの壁に更なる創造性を付加することができるはずだ。 ![]() ![]() ![]() ![]() この造形は、断面の面積を一定にして、幅と高さを変えていくことによって作られている。幅が広い空間は皆で使えるパブリックな空間で、幅が狭い空間はプライベートな空間とし、その間の空間はそれらが混じり合った性質を持っている。例えば幅が広いあたりはキッチンやダイニングとなり、一番幅が狭いところはトイレとなる。赤い色の帯で作られているもうひとつの空間は、外部空間となっており、パブリックとプライベートを混ぜ合わせるだけでなく、内部空間と外部空間も混ぜ合わせて多様な空間を作り出している。 古谷:白いほうのフレームだけで空間をつくらず、赤いフレームを加えたのは大きい。それによってこの空間は単調さを免れている。ちなみに説明の中で、一番狭く天井が高い空間はトイレになると言ったが、そこはトイレじゃないだろうと思う。(笑)トイレにそんな高い天井は必要だろうか。 藤井:つまり、空間モデルとしてはそこまで機能を規定して考えなくても良いということ。 ![]() ![]() ![]() ![]() 多様性とは何かと考えた時に、自分は、樹木の下の空間を思い浮かべた。無数に折り重なった枝と枝の間には、大小さまざまな隙間が出来ており、それが木下という空間に多様性を与えていると思った。このような空間性を建築化するために、壁に自由なスリットを刻み、それを重ねる事で、周りを歩く人の方向や速度によって壁の表情が様々に変化し、向こうが見えたり見えなかったりする空間を作った。 藤井:このグレーの道を作って、あえて人の歩く場所を規定したのは何故なのか。 芦川:壁に自由に穴を空けていったのだが、どこか一ヶ所は視線が向こうまでスッと抜けている場所が欲しいと思い、道を通した。 藤井:穴の開け方は自由といったが、この模型を見るとそのシステムは完全にランダムでもなく、水平方向に伸びた穴だけが設けられた面や、まったく穴が空いていない面もある。 少し話は飛ぶが、数学にカオス理論というものがあって、これは、非常に複雑な振る舞いをする運動を、あるひとつの単純な方程式で表すことができるとするもの。この方程式は、非常に複雑な動きはするが、上限と下限の値は決められていて、あくまで数値はその範疇で複雑に変動する。これは、メチャメチャなものを作ろうとしても、本当にメチャメチャなものはできないという風に解釈をすることもできると思う。 今のこの穴の開け方はルールがあまり感じられない。もう少し何かルールを作ったほうが逆に多様なものが生まれるのではないか…。 古谷:木の形をそのままなぞるのでなく、建築的な形に置き換えたというのはなかなかよい。壁に穿たれた穴は全て幾何的な四角で表現されているのだが、それでも木々の間を移動するのに似た空間体験、効果が生まれている。 それで、穴の開け方に、ランダムな面や、規則性を設ける部分を設けたのは分からなくはないが、それらを設けなければこの効果は本当に期待出来なかったのかどうか。何か単一のルールでそれらの効果も含む方法があったのではないか。実際に、君がモチーフにした樹木は、単一ルールで出来ているが豊かな空間性を持っている。 山崎:ちなみに、余談だが、画家のモンドリアンが、あの有名な抽象絵画に到達するまでの途中のスケッチに、この穴のパターンに近いものがある。 ![]() ![]() ![]() ![]() 日本の都市は高密度で、住居に与えられる敷地は非常に狭い。有限な土地の中で多様性を生み出すには、その狭い空間を広く見せる必要があると思った。そこで、全面鏡張りの空間を作り、空間を視覚的にだけでも拡張した。 古谷:それはあんまり面白い説明ではないと思うが…。狭いから鏡を使って広く見せると言われても困ってしまう。 左右対称の正方形のプランにも関わらず、4枚の鏡を卍状に置いただけで意外と左右が不均衡に見えるのは面白く、極めて規則的な配置をしているのに多様な変化が生まれている。 ![]() ![]() ![]() ![]() 多様な空間とは何かと考えた時に、多様とは、言葉通り、要するに様子、様態が多くある状態の空間だと受け止めた。ちなみにここで言う様子とは、人間が見て感じるもの、そこにいることで感じるものであると思った。そこで、普段の空間の作られ方を逸脱し、4方を囲むことでなく端部をくっつけることで空間を作れば、空間の様子を普段と違ったものにできるのではないかと思った。結果的に、この空間は、見る角度や光の入り方によって、様々に見える多様な空間となった。 藤井:端部をくっつけたという操作についてではないが、これは開口部の作り方が良いと思った。ドアと窓という要素が無意識のうちに規定する空間性というものがあって、例えば連続窓は人を誘導し、縦に空いたスリットはそこに人を立ち止まらせるような効果がある。ドアも人をそこに誘導する。そういう要素を空間内にちりばめて、空間に更なる多様性を与えているのは面白い。 古谷:とりあえずやってみた建築操作が成功したと自分でも言っていたが、やはりそれをここから制御していかなくてはいけない。エスキスの結果、生まれた効果を的確に捉え、それを制御することを考え、今一度モデルを作り直してみるとさらに良い作品になると思う。 ![]() ![]() ![]() ![]() かつて中国に、九龍城砦という、無数の住居が積み重なる巨大なスラム街があった。そこは、最初に建てられた一軒の住宅の上に、後から移住してきた住民が家を積み重ね、同じ行為が積もり積もって巨大な建造物に発展したという経緯を持ち、そこには非常に多様な空間が生まれていた。誰が計画したわけでもないのにそうした多様さが生まれたことから、私は何も計画しないのが多様な空間であると考えた。そこで、最初に3本の柱だけを建て、そこにエレベーターや水回り等必要最低限の機能を持たせ、その周りの空間については住民が勝手に組み替えられるような仕組みを作った。 古谷:今、一度これらのボックスを取り外し、違う組み合わせで組み立て直してもらったが、前のものと同じようにしか見えない…。 小西:よく見ると、最初閉じていた通路が広がったり、吹き抜けが出来たりしている…。 古谷:これは、一見、同じように見えて、ひとつひとつ部分を見ていくと全て違っているという、ヴァナキュラーな集落を生成するような仕組みが生みだすのに使えるかもしれない。 しかし、違っているのに同じように見えてしまう、というこの現象を何かに生かすことも考えられる。 藤井:3本のコアを作っている所はすごく建築的。 古谷:3年生でそこをおさえているのは若干こましゃくれている…(笑) 藤井:例えば鳥の声は、ひとつひとつは多様だが、まとまると一様に聞こえる。そんな事例もヒントになり得るかもしれない。 古谷:昔、学生だった頃、集合住宅の授業で良く言われたこんなエピソードがある。 ある新聞配達の人が、「整然とナンバリングされて並んだ団地」と「ぐちゃぐちゃに建てられた集落」に新聞を届けることになった。その際に、新聞を間違って届けてしまう確率、つまり誤配率は、最初、団地のほうが5%、集落のほうが10%だった。月日が経つうちに、集落のほうはどんどん誤配率が減り、やがて0%に近くなった。しかし、団地のほうは、何ヶ月経っても誤配率は5%から変わることはなかった…。 つまり、整然と並んでいるものはどこも同じに見えて、空間をうまく判別することが出来ないが、ある程度特徴的に雑然としているものは、しだいにその空間的特徴を覚えて空間を識別出来るようになるということ。今回のこの案は、このエピソードの団地、集落どちらにも転び得る危うい所にいると思う。その辺りの分岐点を、今一度考えてみてはどうか。 藤井:多様なものを求めて、結果的に一様なものになるか、ならないか。その違いは、varietyとdiversityの違いにもつながる話だと思う。 おそらく、varietyは同じように見えるものの「違い」を考えることで生まれ、diversityはもともと違うものたちの「似ている所」を考えることで生まれるのではないか。 今は同じようなものの違いを作っているが、逆に、まったく違う造形のコアを用意し、そこをつないでいくものを考えていったほうが、多様な集合住宅が生まれるのかもしれない。 ![]() ![]() ![]() ![]() 私は、どんな空間も、もともと多様になる可能性を持っていると思う。そこで、ゼロからでなく、既存の敷地に操作を加えることで多様な空間をつくることを考えた。でこぼこなビルの稜線に一枚のスラブをかけ、それぞれのビル同士にあらたな関係性を作ることで多様な空間を作った。 古谷:多様なものの多様性を理解する為に、均質なものが必要だという考え方。均質なものを雑多なものの中に差し込むことで、その差異を浮き彫りにするという考え方はこの課題に対するひとつの回答であると思う。 山崎:既存の地形を利用するのでなく、このビルの部分も含め全て設計すると、逆にリアリティがあるかもしれない。アラブのオフィスビルのコンペでこういう計画が実際に選ばれたことがある。 古谷:現状だとこのプレートの下のほうはあまり面白い変化が起こっていないと思う。プレートの上に飛び出たビルだけが特権的に何か恩恵を受けることになる。それを利用するにせよしないにせよ、そういう、浮き彫りになった差異をうまく活かせる機能を考えてみて欲しい。
設計演習D 第3課題
出題:藤井由理 第3課題 「多様な空間」を考える −空間のモデルの作成− いままでの多くの課題では機能や用途が設定され、それらを手がかりにしながらデザインを考えることが多かったと思います。しかし、今回の課題では機能は設定されずに、「多様な空間」という抽象的なコンセプトだけが与えられます。 近頃、「多様」ということばをよく耳にしますが、何故、今「多様」がキーワードであるのか考えて欲しいと思います。そのために、まず各自が「多様」という言葉を解釈、再定義して下さい。それから考えられる具体的な空間のあり方を考え、「多様な空間」とはどのような空間か思い描いて欲しいと思います。 例えば、「多様な空間」とは ・皆が同一の意味を教授するのではなく、個人が自由な解釈を出来る空間 ・ああも見えたりこうも見えたりする空間 * 階層や構造を持たない空間 かもしれません。 最終的に提案されるものは、住宅や美術館、学校であったりと、機能を限定せずに色々な建築(またはその一部)となる可能性を持った空間のモデルを期待しますが、今回の課題は多様な用途として使える空間の提案ではないことに注意して下さい。 ○中間提出: 5月14日(水) 午後1時 1. まず「多様」について自分なりに考える。 2. その考えに従って、「多様」とは何かを再定義する。 3. その定義から考えられる「多様な空間」とはどんなものか、そのコンセプトの説明文とスケッチまたはパースを27×27cmの紙にまとめる。 ○最終提出: 6月4日(水) 午後1時 平面が13.5m×13.5m程度の大きさの「多様な空間」を計画し、1/50の模型を提出。模型には必ず人を入れること。必要であれば、使われ方(機能)は各人が設定するものとします。空間モデルを考える際には、俯瞰的な視点からのみではなく、実際に自分がその空間を体験することを意識してデザインして下さい。 < 前のページ次のページ >
| |||||||||||||||||||||||