安藤悠 ○○○○
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家での生活を考えたときに、建物と自分との間には、家具というものが絶対に貫入してくる。そこで、建物と家具と人をテーマに住宅を考えてみた。一般的に、我々は、もともと用意されている壁に対して、そこに自分の家具をしつらえていくので、そこには往々にしてズレが生じてしまい、変な違和感を覚える事がある。
そこで、壁の中に家具を吸収させてしまおうと考えた。変化していく壁の厚さに沿って、壁の中に家具が生まれていく。壁の厚さの変化によって、壁の中の家具は自ずと機能を持つ。そうして、自分の持ち物に囲まれた場所が自分の空間になっていく。
藤井:屋根のプレゼンがなされていないのが残念。屋根がどう架かるかによってこの空間の質はずいぶん変わってくる。壁と開口部との関係がスタディされていないのも惜しい。
山崎:サービス空間の部分(壁の内部、家具となる空間)はトップライトにして光を満たし、その他の空間の部分には普通に屋根をかけると面白い空間が現れそうだ。
古谷:この住宅は、まず、厚さの変化していく壁があり、そこに厚みに応じた家具機能を挿入したうえで、それらをぐるりと曲げる事により居住空間を作り出している。その空間を生み出す原理は分かったが、次のステップとして、この空間の原理がどのような発展的可能性を持ちうるかを考える必要がある。それは例えば、山崎先生がおっしゃられたような、モノのために用意されたスペースである壁の中の空間に光を取り入れるという事かもしれない。本来モノのために用意されたスペースというのは、物置のように光を当てないスペースであるが、この住宅では、居住空間の周りには必ずモノのための空間があるので、この原理により、モノのための空間を室内の明かり取りに使おう、空気とりのスペースに使おうといった発想が出てくる。
コンセプトが切り開くであろう可能性をもっと考えてみるとよい。
by enshu08
| 2008-08-01 00:17
| D_第4課題