野村綾子 ○○○○
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陣地取りゲームは、領域を二次元的な表現で規定しているが、そこには、人の解釈によって三次元的な空間が発生していると思った。領域の向こう側は見えるけれどもそこに行く事はできず、見えない壁が生まれている。
今回は、その事を発想の原点にして、ある美術館の空間モデルを作った。この空間は、向こう側の人は見えるけれども、立てられた壁によってそこに行く事は出来ない。壁に空けられた開口部は高さや面積が変化しており、中にいる人の頭だけが見えたり、足だけが見えたりする。周りの人は、その周りをぐるぐるまわって、そこに行くにはどうすれば良いだろうと考えながら、そこには何かあるな、という興味をかき立てられていく。また、開口部を縁取るようにつけられた色は、真正面から見ると壁同士の奥行きが消え、平面に見えるようになっている。平面だと思われた色と色の隙間から人が現れる事で、奥行きが発生する様になっている。
平本:これは非常に空間が気持ちよく感じられる模型。プランが明解なこともあると思うが、表現の加減が良い。開口部に色を塗って、奥行き感を消したのもうまい。
藤井:これは天井がどう貼られるかが重要だと思う。建築を考えるとき、プラン中心に考えていると意外と忘れてしまいがちなことだが、天井がどう入ってくるかで奥行き感はだいぶ違って見える。天井がどう入るとこの案をさらに発展出来るか考えてみたらどうか。しかし、単純ながらも応用範囲がひろい良い案だと思う。
古谷:この模型は、アイデアを最小限の表現で成り立たせている。それが見る人の想像力を呼ぶ。自分の模型を客観的に見ることで適切な表現が見えてくる。ちなみに、画家が個展を開く目的の一つに、自分の絵を客観的に見る為ということがある。他の皆も、せっかくこの授業でたくさんの模型が一同に集まっているのだから、客観的に自分の作品を見るチャンスだと思って見てみると良い。
by enshu08
| 2008-06-04 00:08
| D_第3課題